その日、栗毛はコンボイを手に入れてしまった。
2014年9月20日、時はセプテンバー。
僕たち栗毛(カズキタ、じゃがまる、滝沢 + たてこ)は、毎年恒例の行事の河原でSeptemberを演奏するイベント、”Do you remember?”を終えて武蔵小杉で小杉カレーを食べてました。
ちなみに小杉カレーは、栗毛に似合わずおしゃれでおいしくて、ここで特に書く事はないでやんす。
その後、新丸子の高架下にあるスーパーリサイクルショップ「ワットマン」に軽い気持ちで寄ったんですね。
一通り楽器やらゲームやらを見ていたら、代表取乱役がついに取乱す物件に出会っちまいました。
それが、かの有名なクソゲー「コンボイの謎」。
そう、巷では欲しくてもなかなか手に入らないと言われている(そう信じてる)究極のファミコンソフトである。これを手に入れるため、昔は女子高生が売春したり、栗毛が買春したりといろいろあったりなかったり。とにかく、これで栗毛も謎解きのスタートに立つことができたと思い、足が震えてレジまで持っていくのが一苦労だった。(所持金が200円しかなくて持っていけなかった)
ついでにファミコンソフトが動く、ジャンク品のファミコンっぽい機械を購入。
ここの会計は、社会人になった途端成金オーラを醸し出しているじゃがまるに任せ、とりあえず近くの滝沢の家に向かうことに。
新丸子の商店街を抜け、滝沢宅へ。
ありとあらゆる手段を尽くして、コンボイの謎を必死にセッティング。
そしてついに起動!
そして即死!
いったいこの5秒の間に何があったのか??
どうやら敵弾が当たっていたらしい。その大きさわずか4ドット。
開始5秒で死ぬと言われていた伝説は都市伝説ではなく、実話だった。
なにがコンボイの謎なのか、そしてこの主人公の名前はなんなのか。
コンボイの謎以前にコンボイが謎である。
昔の子供はかわいそうだなぁ、と思った。
だって、おばあちゃんからやっとのことでもらったお小遣い5000円を握りしめて、ハローマックに買いに行ったソフトをプレイした5秒後に即死。そして翌日からはもうプレイするのも嫌になるこのコンボイの謎。
しかし、この理不尽なゲームこそまさにこの世のなかの理不尽を忠実に再現してるのではないか?
これはそういう大人たちから子供に向けた人生のトレーニングではないだろうか。
世の中の9割は理不尽である。
生きていくということ、それは理不尽をどう受け入れていくかということに尽きるのではないか。
それがいきなり現実世界で起きると、人は受け入れるのが難しい。
そんな大人にならないように、そのために大人は子供にコンボイの謎を解かせるのではないか。
答えがないというこの謎を。
そして栗毛は考えた。
栗毛は、もっと理不尽な世の中を生きている。
それを子供達にも知ってもらいたい。
体感してもらいたい。
そのためには、コンボイの謎の理不尽度をさらに上げる必要がある。
敵弾が4ドットでよく見えないと言われているが、そんなのまだ甘い。
なぜならその4ドットはとても明瞭な4ドットだからだ。
だからまずは、この4ドットを曖昧にしたい。
プロジェクターで映したり、あらゆる映像出力をアナログなどの変換をかませることで、さらに曖昧度が増していくのではないか?
そして、通勤ラッシュや富士山頂など、エクストリームな環境でコンボイをプレイすることで、冤罪との戦いや高山病との戦いの要素を加えることで、より理不尽さについて学ぶことができるのではないか?
こうして、栗毛たちのエクストリーム・コンボイの旅が今ここに始まることとなった。
(じゃがまる作)